映画と本の感想ブログ「映画の本だな」

いつかディズニー映画を英語で観るために頑張るブログ。

映画「真夏の夜の夢」

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映画「真夏の夜の夢

 

”われら役者は影法師、

 皆様がたのお目がもし

 お気に召さずばただ夢を

 見たと思ってお許しを。”

書籍「シェイクスピア全集 夏の夜の夢」

ウィリアム・シェイクスピア 著

小田島雄志 訳

 

映画"A Midsummer Night's Dream"

1935

マックス・ラインハルト/ウィリアム・ディターレ 監督

 

 ラテンを思わせる情熱的なリズムに、恋の歌詞が熱い90年代の夏の歌……

もしかして、ユーミンだと思いました?

松任谷由実の往年のヒット曲が、同名の「真夏の夜の夢」なのです。

 が、今回はこちら、シェイクスピアの戯曲の中でも、

よく知られた1作を映画化した作品を、ご紹介させていただきます。

有名どころで、現代でも盛んに演劇の脚本に用いられます。

かくいうコザクラも、学生時代に学校行事で鑑賞した舞台で知った口です。

 

 映画化は何度か行われており、それに加えてオペラやバレエなど

舞台の映像作品化もなされており、意外とディスクに出会う機会は多いようです。

ただ、そのどれもが注目を集めるほどヒットしたとは言い難く、

探してもなかなか見つからないかもしれません。

この記事で1935年版の白黒映画を取り上げたのは、

Amazonで動画配信されており、気軽に見られるかな、という下心のためです。

 ただ、観る前にこんなこと言うのは心苦しいのですが、

ちょっと間延びした映画だと感じるかもしれません。

途中で気付いたのですが、1935年版の映画は、

そういう時代だったのかもしれませんが、スクリーンで観る前提の映画ではなく、

舞台をそのまま映像にした作品に近いんです。

間の取り方が映画用ではなく舞台用なので、

何だか話が進まなくて、のんびりしているように感じてしまうのです。

 もし、観ていて「これ違うな」と感じたら、

ぜひ他の映像作品を試してみてください。

もしくは演劇を観に行ってみてください。

堅苦しい言い方をするなら、「真夏の夜の夢」は教養作品です。

観ておいて損をすることは絶対ありませんし、

数千円のチケットの価値は絶対にあります。

 

 今回引用した書籍は、戯曲初心者の方にはハードルが高いかもしれないので

もう1冊ご紹介しておきます。

コザクラも最初読んだ時、普段読んでいる小説と勝手が違って「???」でした。

下記にリンクを貼った書籍「夏の夜の夢 (シェイクスピア名作劇場3)」は

斉藤洋・著で、子ども向けに書かれているために、大変わかりやすくなっています。

舞台も映画も知らなければ、こちらの本を開いてストーリーを頭に入れてから、

書籍「シェイクスピア全集 夏の夜の夢」を読んだ方が、

スムーズに読めると思います。

 とはいえ、引用書籍のシリーズは、巻末に解説がついているので

そこだけ読んでみるのもおすすめです。

オベロンをはじめとする妖精の出典の紹介もあり、

作品についてより幅広く、深い知識を得られます。

 

 ところで、この戯曲作品の創作年代は明確でないものの、

三十歳前半のシェイクスピアによって書かれたと推測されています。

 制作背景も不明ですが、作品の短さや結婚がテーマであることから

結婚祝いの催しとして演じられた作品ではないかと考えられています。

何よりこれは、喜劇です。

お祝いの席に相応しい劇だったろう、と思われます。

 その中で、人間たちの恋模様を面白おかしくするのが、妖精たちです。

超自然的かつ人間に親しみを持ち、かついたずら好きな妖精が

舞台を引っかき回すことで、ままならぬ運命を実に喜劇的にとらえています。

人間の心を変えることさえできる妖精たちは、

人間に対して絶対的な力を持っています。

しかし彼らは皆、悪意のない、愛されるべき隣人として描かれています。

 そしてラストでは、その妖精が引用した台詞を口にして幕を引きます。

真夏の夜――夏至の晩――に見た夢から目を覚まし、

観客は劇場を出て、現実世界へ戻っていく感じのする、印象的な台詞でした。

 

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