映画「禁じられた遊び」
映画"Jeux interdits"
1952年
ルネ・クレマン 監督
日本が誇るトラウマ映画が「火垂るの墓」なら、
フランス映画の代表は、この「禁じられた遊び」でしょう。
どちらも戦争・子ども・墓(死)がセットになっており、
もれなくバッドエンドです。
そして共に、映画としての質も評判も非常に高い、名作という点でも同じです。
しかし、いくら素晴らしい出来でも、一度観たら「もう二度と観たくない……」と
心に傷を負うのは必須。
それでも、一度観ただけで、強烈な印象を残していくのだから、
やはり作品としての完成度は高い。
ぜひ、後世には残したいけど、個人的にはもう一生観たくない映画なのです。
時代は第二次世界大戦。
ドイツ軍の攻撃から逃げ惑うフランス市民を映して、物語は始まります。
主人公:ポーレットは、両親とペットの犬と一緒に避難する途中で、
爆撃に巻き込まれます。
家族を失い、逃げ惑う群衆から離れた彼女は、田舎の農場に迷い込みます。
そこで出会ったのが、土地の子ども:ミシェル。
ミシェルはポーレットを、自分の家に連れて帰ります。
死んだ犬を抱えて、元気のないポーレットを元気づけようと、
ミシェルはある提案をしますが――。
劇中で流れる曲「愛のロマンス」は、この作品で有名になったと言われています。
ギターで奏でられるこの曲は、スペイン民謡を起源に持つようですが、
詳しいところははっきりしていません。
いずれにせよ、ギターやピアノの練習曲でよく取り上げられ、
その物悲しいメロディーは、映画を観たことがなくても、
知っている人が多いのではないでしょうか?
タイトルに「愛」だの「ロマンス」だの入っているあたり、
ポーレットとミシェルの2人の行く末が、映画「小さな恋のメロディ」みたいな
ものであってもおかしくなかったのに、と思わせてきます。
人生で1回は観ておきたい……でも、2回目はいらない……そんな映画です。