映画「アトランティスのこころ」
”「きみには、目をしっかりと見ひらいていてもらいたい。それだけだ」
テッドはいった。
「なにをさがすの?」
「黄色いコートを着た下衆男たち(ロウ・メン)だよ」”
書籍「アトランティスのこころ」
白石郎 訳
映画"Hearts in Atlantis"
2001年
スコット・ヒックス 監督
最早、原作本にも映画にも関係ない話をしてもいいでしょうか?
この作品を読んで、観ている間中、コザクラの頭では
ほぼ常にデジャヴ(既視感。はじめての体験であるにも関わらず、
すでに知っていたような気分になること)が起こっていました。
どの辺に見覚えがあるかというと――
――黄色いコートを着た
――下衆男たち(Low men ロウ・メン)
――背がすごく高くて、すごく痩せてる
――帽子を被って
――大きな目玉のマーク
……とまぁ、こんな感じです。
2017年にバンダイナムコより発売されたゲームの雰囲気を
思い出さずにはいられません。
黄色いレインコートを着た女の子の手をひいて、
帽子を被った背の高い痩せ型の男から逃げ出すゲーム。
街で一番高い電波塔が最終ステージで、
作品のそこかしこに目玉のマークが描かれているゲーム。
そのゲームの名は、「リトルナイトメア2(LITTLE NIGHTMARES Ⅱ)」
スウェーデンのゲーム会社:ターシア スタジオが開発したそうですが、
開発陣の中にスティーヴン・キングの愛読者が絶対いると思います。
実は、映画が2時間未満と短く、原作本が上下2巻とかなり文量があるため、
映画は原作の一部分を元にまとめられています。
省かれた原作本の内容には、作者の別の長編シリーズに繋がる部分があり、
それが完結までに30年あまりをかけた「ダーク・タワー」シリーズです。
ちなみに、こちらはこちらで2017年に映画化されています。
ゲーム全体の雰囲気にダーク・タワーの謎や暗さに近いものがあり、
どちらかというと「期せずして似通ってしまった」というよりは
「本歌取り」のような気がします。
もっといえば、聖書やシェイクスピアのように
「文化人として知っていて当たり前の教養」として
スティーヴン・キングの著作を扱っている人が、制作陣にいそうです。
例によってコザクラはゲーム下手なため、プレイ動画を視聴しただけです。
しかし世界観・キャラクター・結末が面白く、
プレイ動画を2~3周するくらい気に入ったゲームです。
ジャンルはサスペンスアドベンチャーサバイバルホラーと説明されています。
不思議な世界からの脱出や謎解きのために、暴力的な住人たちと戦い、
逃げるお話ですが、説明もないまま場面だけが進んでいくので、
ストーリーはあってないようなものです。
プレイヤーの数だけストーリーの解釈があるため、
プレイ動画だけでなく解説動画も多数投稿されています。
ホラーが苦手な方に無理に見てくれとは言いませんが、
ぜひたくさんの人に知ってほしい、そして考察してほしい作品なので
この場を借りて紹介させていただきました。
おかげで原作本と映画の話はできなくなりましたが、悔いはありません。
原作本と映画のネタバレはしても、ゲームのネタバレはここではしません。
下衆男たち(ロウ・メン)ではなく、下衆男(ロウ・マン)ではありますが、
ゲームでは主人公たちにつきまとう影のような男が1人登場します。
ぜひ、ゲームのラストで明かされるロウ・マンの正体に
目を見張ってください。
オススメは精神科医の名越康文(なごしやすふみ)先生の解説付きプレイ動画。
一人で観ていたら「ひぃぃぃ! 怖い!」で終わってしまうのですが、
先生が関係あることもないことも(笑)喋ってくれていると
不思議と怖くても最後まで見通すことができます。
YouTubeのリンクを貼らせていただきます。
【神回】【01】精神科医が分析する「リトルナイトメア2」 ハンター編(前編)「恐怖心とトラウマ」 - YouTube
【映画のキーワード】
#ヒューマンドラマ #超能力 #ベビーブーム