映画と本の感想ブログ「映画の本だな」

いつかディズニー映画を英語で観るために頑張るブログ。

映画「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」

So don't sit there and tell me that marriage isn't an economic proposition because it is.

映画「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

 

”ハンサムで若くて、知性があって、そして、お金持ちなのですもの。

 彼と結婚すれば、わたくしが望んでいるものがすべて手にはいるのです。

 お金めあてだといわれてしまいそうですね。

 でも、わたくしは貧乏がきらいです。”

書籍「若草物語Ⅰ&Ⅱ」

ルイザ・メイ・オルコット 著

谷口由美子 訳

 

映画"Little Women"

2019

グレタ・ガーウィグ 監督

 

 結婚に愛を求めるべきか、生活の安寧を求めるべきか――それこそが問題だ。

古今東西、神話の時代から現代に至るまで、

数え切れない程取り上げられてきた題材ではありますが、

本作の主人公の1人、末っ子のエイミーにとっては自分と家族の大問題です。

 牧師である父親は、金銭面で頼りにすることはできません。

母親は奉仕の精神で生きており、世俗的なことにガツガツしていません。

長女:メグは愛を選び、貧しい男と小さくもあたたかい家庭を築いています。

次女:ジョーは男勝りすぎて、結婚するより文筆業で自立することを望みます。

三女:ベスはみんなの天使だけど病弱で、働かせるなんてもっての外です。

 エイミーは、家族全員を幸せにするためには、

自分が結婚によって裕福になろう、と決意しました。

引用文は母親へ宛てた手紙の中で、その決意を述べたところからとっています。

 19世紀のアメリカでは、今よりずっと女性の自立が難しく、

結婚は家や社会との結びつきを如実に表わすものでした。

エイミーが若く健康な女性として自らを意識し、

洗練された身のこなしや教養を身につけて社交に積極的なのは、

上流社会との繋がり(結婚)によって金銭問題を解決することができるからです。

結婚が2人の愛だけではなく、互いの親族まで含めての経済問題であるとの旨は、

確かに正しいのです。

 それでもエイミーは悩みます。

愛を無視して結婚してよいものか。

やはりそれも、確かに正しいのです。

 

 原作はあまりに有名な児童文学「若草物語」――

自身も4姉妹の生まれだった、アメリカの女性作家ルイーザ・メイ・オルコットが

生み出した、「マーチ家の4人姉妹のなんてことない日常」を描いた作品です。

南北戦争時代のアメリカを舞台に、従軍牧師として家を出た父を待ちながら、

4人姉妹が日々の生活の中で工夫する楽しみやちょっとした幸せを

見つける姿が、この作品の見所です。

 ただし、主人公が4人の少女ということもあり、

子ども向けの文庫本は、漫画調の瞳の大きいキラキラした女の子のイラストが

表紙になっていることが多いです。

これでは男子が寄りつく筈がありません。

表紙のイラストで嫌われて、男子には読まれなかった作品のイメージがあります。

同様の理由で、「赤毛のアン」もおそらく男女で読書率が異なるでしょう。

 そんな過去をお持ちの男性諸君!

ご安心ください、今回の引用書籍はひと味違います!

2019年に発行された本著は、そのデザイン・装丁共にかわいらしさを

内包しつつも、シンプルで品良く仕上げられています。

これなら大人も手にとりやすく、表紙を見る度に明らかな対象性別を

意識せずにすみます。

 気になる方は、ぜひお近くの書店などで現物を手にとってみてください。

思わず自室の本棚に並べたくなるセンスの良さです。

 

 さて、今回の映画化では、シリーズの1・2作目を織り交ぜながら、

4姉妹の生活をたどっていく形式になっています。

 もし原作未読の方がいらっしゃったら、ぜひ先に原作を読むか、

1・2作目のあらすじを通して聞いておくことをおすすめします。

なぜかって?

こんがらがるからだよ!!

主人公が4人と多くて、さらに回想シーンをしょっちゅう挟むので、

視点と時系列の変更が目まぐるしく感じられます。

 コザクラは原作未読アンド1作目の大体のあらすじしか知りませんでした。

したがって冒頭のシーンで「なんでみんな成長しているの……?」と

頭にはてなマークが浮いてしまい、全然映画に集中できませんでした。

仕方がないので、映画は一時中断。

ネットで検索して、若草物語が全4作品で、

この映画では1作目を回想シーンで描きつつ2作目の次女:ジョーの視点を

中心に話を展開していることを知りました。

確認を終え、視聴再開。

邪道に思われるかもしれませんが、

映画の時はこういう方法もあります。

 

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