映画と本の感想ブログ「映画の本だな」

いつかディズニー映画を英語で観るために頑張るブログ。

映画「バックドラフト」

"Let me go, Bull." "You go…we go."

映画「バックドラフト

 

”だが炎は生きているわけではない。

 敵でもない。

 炎は父を殺したのではなかった。

 父は炎のものとなったが、炎に殺されたのではない。

 炎などは、つまるところは障害物にすぎない

 ――障害物ならば、克服できないはずはなかった。”

書籍「バックドラフト

カーク・ミッチェル 著

白石郎 訳

 

映画"Backdraft"

1991年

ロン・ハワード 監督

 

 消防士が主役の映画は、この世に一体何本あるのでしょうか。

 見識が狭くて申し訳ないけど、コザクラにはこの映画しか思いつきません。

しかしこの1本を観たときの衝撃は、今でも思い出せます。

明るく楽しい娯楽映画ではなく、サスペンス・・・アクション?映画です。

何がきっかけで観ようと思ったのかは覚えていませんが、

今となっては消防士映画といえばこの映画「バックドラフト」です。

 

 題名になっている「バックドラフト」とは、密閉された空間で火災が生じた際、

酸素を燃やし尽くして火の勢いは衰えるものの、その後すぐにドアを開けて

室内に外気が入り込むと、室内のガスに引火して起こる爆発のことです。

 映画では扉の隙間から煙が立ち上る描写がされておりますが、

扉を開けた瞬間に炎はなく、すぐに外の空気が室内にとりこまれ、

室外へ向かって爆発が起こります。

この爆発を避けるために新米消防隊員は隊長から

「扉を開ける前に温度を確かめろ

 (扉が熱ければバックドラフトの可能性がある)」と

口酸っぱくして言われています。

 

 この記事を書くにあたって消防のページを見ていたら、

火災現場で扉の温度を確認する時は、

必ず手の平ではなく手の甲で確かめるように、と書かれていました。

もし扉の向こうに火の手が迫っていて扉が熱い場合、手の平を火傷して

その後の避難に支障がでるかもしれないから、とのことでした。

なるほど。

以上、千葉市の防災ページからでした。

 

 主人公は、殉職した消防士を父に持つスティーヴンとブライアン、2人の兄弟。

映画の中でも仲の悪さが際立ち、常に険悪な雰囲気を醸し出していますが、

原作はそれぞれの心情が各々の立場で描写される分、より陰鬱な気分になります。

 大好きな父親が炎にのまれて死んだことで、2人の未来――消防士として炎に

立ち向かう日々――にも暗い影が落ちています。

一見するとガッツがあり優秀な消防隊員として現場で指揮するスティーブンには、

家族の愛や絆を自ら壊してしまう歪みが見受けられます。

一方、弟のブライアンは父の死を目の当たりにした強いショックから悪夢に

うなされ、発作的に現実から逃げだす癖がついていました。

 

 2人に消防士という職務を運命づけた炎は、

まるで生き物のように映画内で描かれています。

先回りしたり、誘い込んだり、舌なめずりをするように壁を這う様は気味が悪く、

実際の炎はこんな風じゃ無い、とわかっていてもぞっとさせられます。

なぜ火は、生き物のように見えるのでしょうか。

普段はコンロの中で小さく大人しく燃えている火も、一度外へ飛び出せば

まるでそちらが本性であったかのように激しく燃えさかり、みるみる内に

辺りのものを焼き尽くしてしまいます。

 最後のシーンで、ブライアンはスティーヴンを救うために、意を決して炎の

中へ飛び込んでいきます。

このシーンが本当にかっこいい。

映画もいいけど、ここは原作の方がブライアンの考えが描写されているので

よりいいと思います。

 火災を前に、人は為す術ありません。

逃げ出すことが最善です。

消防士の他の人にとっては、ですけど。

 

 ちなみにユニバーサル・スタジオ・ジャパンには、

この映画を元にしたアトラクションがあります。

そんなに有名な映画だとは知らなかったけど・・・本国では有名なのかしらねぇ。

ドラム缶をぼっかんどっかん爆発させるショーで、かなり景気よく燃やしています。

あまり待たずに入れて、大人数が一度に入場できるので、空き時間にも

入りやすいアトラクションだと思います。

飛び込みで、ぜひどうぞ。

 

【映画のキーワード】

#サスペンス #消防隊 #アンニュイな主人公

 

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