映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」
”どちらが先かはわからない。
でもキューバからの移民が祖国へ持ち帰ったとは思えない。”
書籍「意外な組み合わせが楽しいご当地レシピ355 世界のサンドイッチ図鑑」
佐藤政人 著
映画"Chef"
2014年
ジョン・ファヴロー 監督
この映画を観ていると、カルディ(KALDI:コーヒーと輸入食料品の販売店)に
いる気分になるのは、コザクラだけでしょうか?
アメリカはマイアミのリトルハバナには、かつてキューバからの移民が
多くやって来たため、現在でも彼らの影響が色濃く残っています。
コザクラが気になって仕方が無い、サルサ音楽(ラテン音楽の一ジャンル)も、
本作でキーアイテムとなるキューバサンドイッチも、
この地に深く根付いてきた文化の一端なのです。
ところでこのキューバサンドイッチ、どんな食べ物かご存じでしょうか?
映画を観ると、肉やチーズを挟んだサンドイッチを、
プレスして平べったく焼き上げる料理だとわかります。
引用書籍では、キューバのパン・デ・メディアノーチェと呼ばれる
サンドイッチが、アメリカのキューバサンドイッチの起源ではないか、
と紹介されています。
両者の違いは、主にパン。
キューバでは、甘いパンで具を挟むのだとか。
キューバサンドイッチもパン・デ・メディアノーチェも、
日本では馴染みがない食べ物です。
いつか、本場で食べてみたいなぁ……。
自宅で再現できるレシピが掲載されている書籍もご紹介しておきます。
島本美由紀 著「世界のサンドイッチレシピ」です。
下にリンクを貼っておきますね~。
さて、物語の主人公は、バツイチ子持ちのシェフ:カール。
ぽっちゃり……では済まされない感じでお腹が出ていますが、
どこか憎めない愛嬌のあるキャラクターで、
そんなお腹もチャームポイントになっています。
「おいしい料理を食べてもらいたい」という気持ちで一生懸命なカールは、
オーナーと対立し、料理評論家にこき下ろされ、職を失います。
人生のどん底に落ちたわけですが、彼の元妻も、彼の息子も、
彼の元同僚たちも、はたまた彼の元恋人まで、皆、彼のことを見捨てません。
これはもう、彼の人望の賜です。
普段から料理を愛し、真摯に仕事をしてきたからこそ、
皆、カールの情熱と、それ故の失敗をわかってくれているわけです。
とはいえ、就職口を見つけられなければ、
料理で誰かを幸せにする仕事をすることはできません。
落ち込むカールに、元妻:イネズが、
自分の里帰り旅行に付き合ってほしい、と提案します。
3人でマイアミへ行き、そこで息子の子守をお願いしたい、と言うのです。
自分の失業を理由に、父子でニューオーリンズへ旅行する約束を、
先延ばしにしていたカールは、息子:パーシーのために、
イズネの提案を承諾します。
そして3人が降り立ったマイアミ。
地元のレストランで、とびきりおいしいキューバサンドイッチを食べた
カールは、あることを思いつきます――――。
人生は、うまくいくことばかりではありません。
職場の上司と意見が合わず、自分の意見が通らなかったり、
自分の作った料理を「おいしくない」と低評価されたり、
他人に文句を言っている動画がネットに投稿されたり、
あるいは――キューバサンドイッチを焦がしたり、とか。
人生は、本当に色々な波があります。
でも、「自分がおいしいと思ったものを、他の人にも食べさせたい」と
思って料理してきた料理人なら、そんな日でも、
そんな「うまくいかない時」であっても、
おいしい料理を作らなくてはなりません。
おいしい料理だけを、お客様に提供しなくてはなりません。
それは実は、凄く大変なことです。
一流になりたいなら――三つ星シェフになりたいなら、
日々の小さな積み重ねを忘れてはいけない。
疎かにしてはいけない。
料理人のみならず、仕事をしていく上で、忘れてはいけないことを
この映画が思い出させてくれました。
それと……コザクラが食べたことがない、
おいしいサンドイッチが、この世界にあるってこともね!!
【映画のキーワード】
#コメディ #ファミリー #飯テロ