映画と本の感想ブログ「映画の本だな」

いつかディズニー映画を英語で観るために頑張るブログ。

ディズニー・アニメ映画「ヘラクレス」

My favorite part of the game: sudden death.

ディズニー・アニメ映画「ヘラクレス

 

”しかし元々は彼は邪悪な神ではなく、地上にも興味がない。

 ただ厳格で、死後の人間を裁くために無慈悲なまでの公平さを持ち、

 暗いところを好んでいる大人しい神である。”

書籍「古代ギリシャのリアル」

藤村シシン 著

 

映画"Hercules"

1997

ジョン・マスカー/ロン・クレメンツ 監督

 

 引用した書籍でも取り上げられている通り、

本作に登場する悪役(ヴィラン):ハデスは、世界制覇を目指して

非道な行いをする、残忍なキャラクターとして描かれています。

引用箇所は、それを踏まえた上で「実はハデスって……」と繋げているので、

映画とは異なった姿が、神話の中では一般的だ、ということです。

 本作が賛否両論な理由の一つに、「ギリシャ神話をこねくり回し過ぎて

オリジナルストーリーになってるよ!」というものがあります。

確かに、映画を観てからギリシャ神話を読むと

「ハデスってそんなに悪い事してないな……」と首を傾げることになります。

映画ではあんなにテンション高く悪事に勤しんでいたのに、

神話では大人しいというか、暗い雰囲気で、

そもそもそんなに目立った話がないように感じられるのです。

ヘラクレスとの戦いに負けて、死者の蘇りを許してしまうことはあっても、

ゼウスに刃向かった反逆者的なストーリーはなく、

いわゆる「世界を転覆させるような極悪キャラ」ではないのです。

 これってつまり、「職場と顔が陰気くさい」という理由だけで、

悪役に選ばれているわけですよ、彼(ハデス)は。

……かわいそう。

 

――まァ、こういうディズニーの、内面ではなく外見で判断する、

短絡的なキャラクター造詣に反感を覚える人が一定数いるのは、

当然のことだと思います。

 でも、敢えて言わせてもらいます。

本作のハデスって、めっちゃ魅力的じゃないですか?

 ギリシャ神話のハデスが、気にくわないってわけじゃありませんよ、念のため。

そうじゃなくて、「ギリシャ神話の冥府の神」ってことを一旦脇に置いて、

「ディズニー映画の悪役の一人」として観ると、

かなり際だった個性の持ち主に思えるんですよ。

 ディズニー映画は歴史が古いので、作品も多ければ悪役も大勢います。

本作以前・以後含めて、大勢のディズニー・ヴィランがいますが、

これほどキャラが立っている人(神だけど)は、他にはいません。

その証拠に彼は、主人公であるヘラクレスを差し置いて活躍しています。

ディズニーリゾートのパレードやショーに、単体(ヒーロー抜き)で登場し、

ディズニー・ヴィランの一員として新規アニメに結構な頻度で出演し、

ディズニーキャラクターが登場するゲーム(「キングダムハーツ」)では

あまりの登場回数の多さから、プレイヤーが操作するキャラクターが

「なんだよハデスかよ」と飽き飽きした台詞を投げかける始末……。

 これで人気が無いとは言わせないっ!

皆、「ディズニー映画のハデス」のこと、気に入り過ぎだろ!

 

 ディズニーの改変――というより最早、魔改造――を擁護する気は無いけど、

コザクラは基本的には「面白い方が良い方」という考えなので、

作品としては面白く出来上がっているので、別にいいかな、と思っています。

怒る人がいるのもわかるんだけど、デイズニーの原作改変の歴史なんて、

ヨーロッパの民話を映画化した初期の時代からそうだったわけですよ。

もう、原作有りのデイズニー作品のことは

「偉大なるクリエイターと世界規模の資本による壮大な二次創作芸術群」だと

思った方が、割り切れるかもしれません。

 それに、個人的には、この映画をきっかけに

ギリシャ神話や星座に興味を持つようになったんですよ。

映画を観て、「ギリシャの神話って面白い!」となって、

図書室でギリシャ神話の本を借りて「何だこれ、全然違うじゃん!!」となりました。

ただ、映画から入ったおかげか、それを理由に映画を嫌いになることはなく、

ディズニー映画として楽しみ続けたし、ギリシャ神話の人間臭くて生々しい話は、

コザクラの思春期を彩ったわけです。(主に、エロい方面で)

 だから、この映画をきっかけに、ギリシャ神話にハマる人がいるといいな、

と密かに思いながら、この記事を書いているのです。

ギリシャ神話って、面白いですよ。

ぜひ一度、お試しくださいませ。

 

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