映画と本の感想ブログ「映画の本だな」

いつかディズニー映画を英語で観るために頑張るブログ。

ディズニー・アニメ映画「レミーのおいしいレストラン」

Surprise me!

ディズニー・アニメ映画「レミーのおいしいレストラン」

 

”フランス料理は、フランスの人にとっては、「いつもそこにあるもの」でした。

 その「当たり前にある料理」という存在に、

 いつも押し流されそうになっていました。

 ぼくにとってのフランス料理は、

 意識して突進していかないとわからないものだったから。”

書籍「調理場という戦場 『コート・ドール』斉須政雄の仕事論」

斉須政雄 著

 

映画"Ratatouille"

2007

ブラッド・バード 監督

 

 引用した書籍は、東京港区のフレンチレストラン「コート ドール」の

シェフ:斉須政雄さんの自伝かつ仕事論をまとめた1冊。

2002年初版の「ほぼ日ブックス第2弾」にあたり、

ほぼ日刊イトイ新聞」の糸井重里さんが監修された本です。

 20代前半でフランスに渡り、フランス料理の修業をした斉須さん。

6店舗目にして、最後の修行先「ランブロワジー」は2019年の

テレビドラマ「グランメゾン東京」で「パリの三つ星レストラン」として

紹介され、実際にお店が登場し、注目を集めました。

 

 引用書籍の発売から5年後の、2007年に公開されたディズニー映画

レミーのおいしいレストラン」は、フランス料理界を舞台に

料理人になる夢を見る主人公の奮闘を描いた、現代が舞台の作品です。

 その内容は――際どいセーフを狙ってアウトになった――そんな感じです。

 アウト1つ目。

わかりやすい恋愛劇や派手な冒険譚ではなく、

一般人が夢を叶える話を真剣につくったら、地味になった。

 アウト2つ目。

丁寧に描写しているため、上映時間が112分と

(ディズニー映画にしては)長くなってしまった。

 アウト3つ目。

飲食店にネズミは、やっぱりまずかった。

 

  スリーアウト!

  バッター、チェンジ!!

 

 ……………………でも、好きなんだよなァ、この作品。

はじめて観た時、コザクラは高校生だったのですが、

「楽しい映画ではないな」との感想を抱きました。

もっとドンパチする映画の方が好みだな、とその時は思いましたが、

あまりに異質な雰囲気と見栄えのしないテーマ性が、深く印象に残りました。

 大人になって仕事をして、色んな人を見て、その後で映画を見返した時に、

「ああっ!」と色んなシーンの違和感が腑に落ちました。

そこからはもう、大好きな作品です。

 この映画の面白さは、フランス映画に通ずるものがあります。

舞台がパリだから、というのもありますが、

「人生で起こる劇的な瞬間を、爆発やパレードやミュージカルで表現しない」

という点が、フランス的な感性に近いように感じるからです。

フランス映画がアメリカ映画に比べて大衆受けせず、レビューに

「オチがわからない」

「意味不明」

「結局、主人公はどうなったんですか?」

と書かれるのはおそらく、この辺の感性の違いだと思います。

良い悪いではなく、そういう表現を好ましいと思う下地が

観る人にあるかどうかが、問題になってきます。

 でも改めて見直すと、本作はアメリカ映画らしく――もっと言えば

ディズニー映画らしく、ハッピーエンドでまとめられています。

きっちり第80回アカデミー賞(長編アニメーション映画賞)を

受賞しているあたり、「やっぱディズニーはプロだな」と思います。

 アウト3つ取っても、試合には勝っていやがる。

 

 映画の登場人物の中で、一番人気なのが、多分この人。

辛口料理評論家のアントン・イーゴ。

主人公のレミーと、もう一人の主人公であるリングイネが、

かわいい見た目なのに反して、一見すると、魔法や呪術を使って二人を

窮地に追い込むヴィラン(悪役)と思わせるような、怖い外見です。

 しかしその見た目とは裏腹に、料理に対する並々ならぬ想いは

真剣そのもので、そこに善悪は介在しません。

訳あって評論家を失業した後の、ラストの姿のギャップも相まって、

非常に萌え……いえ、ツンデレ……いや、おいしいキャラクターです。

ちなみに、ネット上で「ディズニー世界の海原雄山」扱いされている様子。

(かいばらゆうざん。漫画「美味しんぼ」のキャラクター)

 

 ツンデレがかわいいのは、フランスもアメリカも日本も変わらない――

そんな世界の約束を教えてくれた映画です。

 ぜひ一度、ご賞味くださいませ!!

 

【映画のキーワード】

#ディズニー #グルメ #アニマル