映画「アトランティス」
映画"Atlantis"
1991年
リュック・ベッソン 監督
北海道の旭山動物園が、動物の姿を見せることを目的とした「形態展示」
ではなく、動物の生活を見せる「行動展示」に着手したのが、1997年のことです。
この映画は、それより6年前にフランス・イタリアで制作されています。
作中でペンギンが泳ぐ様を、水中からの視線で撮影しているところを見ると、
映画公開当時、観客は「凄ェ! ペンギンってこんな風に泳いでるの!?」と
思ったに違いない、と思うのです。
公開から30年以上経ち、映像の古さは多少目につくものの、
その美しさは損なわれず、今でも鑑賞に値する希有な作品であります。
冒頭を除いて、台詞やナレーション無しで進むこの作品は、
水中の映像と音響のマリアージュを楽しむようにできています。
フランス出身の作曲家:エリック・セラの提供した音楽が
全編に渡って使用され、ストーリー性のないこの作品に
起伏と色彩を与えています。
映像と音楽の融合の先で、新たな芸術作品としての価値の創造を目指している
あたり、本作のコンセプトには、ディズニーの「ファンタジア」に
通ずるものがあるように感じました。
やっていることがシンプルな分、制作陣のセンスがそのまま露わになる
という、恐ろしい作品なんですけど、さすがベンソン監督。
センスがいい!!(小並感)
本作の3年後に公開された「レオン」でも、カット毎の美しさが
際立っていましたが、その美的感覚の鋭さは、本作でも十分発揮されています。
コザクラ的には、ウミヘビのシーンが好きです。
蛇と聞けば、すぐにあの手の音楽を想像しちゃいますが、
期待通りの音響と、気持ちいいくらいの音ハメで、
見ていて本当に心地良い出来上がりなのです。
心と体を休ませたい、癒やしたい――そんな夜にぴったりな1作です。
照明を暗くして、海の底から見上げる気分で、ご覧くださいませ。
【映画のキーワード】
#ドキュメンタリー #芸術 #ヒーリング