映画と本の感想ブログ「映画の本だな」

いつかディズニー映画を英語で観るために頑張るブログ。

映画「アポロ13」

"Houston, we've had a problem."

映画「アポロ13

 

”どの宇宙船でも危機が発生したときには、

 月飛行のように複雑な場合は特にそうだが、

 宇宙船に乗っている連中も地上の連中も

 一種の現実否認のヒエラルキーのなかで作業を行う。

書籍「アポロ13

ジム・ラベル/ジェフリー・クルーガー 著

河合裕 訳

 

映画"Apollo 13"

1995

ロン・ハワード 監督

 

 失敗なんてしないに越したことはない。

――本当にそうでしょうか?

 

 この映画は、コザクラの好きな映画トップ3に入る1本です。

当然、機会があれば友人・知人への普及活動に勤しんできましたが、

今回記事を書くにあたって気がついたことが、ひとつあります。

これ……パニック映画なんですね。

「ジャンル:宇宙もの」という認識でいましたが、

改めて見返せば、地球から遠く離れた宇宙空間で、

壊れた宇宙船の中に残された宇宙飛行士3名を地球まで帰還させる、

という「脱出もの」でもあったわけです。

道理でハラハラドキドキすると思った。

 でも、映画「タイタニック」が素晴らしいパニック映画であるとともに、

美しい恋愛映画であるように、映画「アポロ13」をパニック映画の

ジャンルにだけくくってしまうのは、いささか乱暴な気がします。

そう、この映画は、「宇宙が舞台」で「危機を脱出する」話であると同時に

「働く男がかっこいい」映画なのです!

 

 本作品は、1970年4月に実際に起こった事故を描いた

ドキュメンタリー映画でもあります。

アメリカとソ連の宇宙開発競争が白熱し、アポロ11号に搭乗した

ニール・アームストロングとバズ・オルドリンの両名が

人類ではじめて月面に着陸したのが、1969年7月の頃でした。

それから1年もたたない内に、さらなる月面調査のために

打上げられることとなったアポロ13号。

しかしその頃には、月面着陸も宇宙旅行も、大衆の関心を得られるものでは

なくなっており、アポロ13の船長である主人公:ジム・ラベルたちクルーは

静かに地球を旅立ちます。

1970年4月11日午後1時13分に、アメリカはフロリダのケネディ宇宙センターから

打上げられたサターンⅤ型ロケットは、2日後の4月13日午後9時7分、

司令船の酸素タンクの爆発事故に見舞われます。

 いっそのこと、わざとじゃないかと思うほど「13」という忌み数で

揃えられたアポロ13号ですが、予感させた不吉さを体現したかのような

事故のため、3人の宇宙飛行士の生命は危機にさらされます。

地球よりも月の方がはるかに大きく見える距離に来てから起こった事故。

やむなく月面探査計画は中止され、宇宙空間を漂う難破船となったアポロ13

何とか地球へ帰還させよう、とNASAアメリカ航空宇宙局)の面々は奮闘します。

 引用書籍冒頭のカラーページに、事故当時に管制センターで

飛行実施責任者の席に就いていた、主席飛行管制官ジーン・クランツの

顔写真が掲載されています。

映画ではエド・ハリスが演じています。

強面で眼光鋭い雰囲気が、ご本人そっくり。

電力・酸素・水の不足する狭い閉鎖空間で寒さに震えるクルーたちの恐怖は

言わずもがな、地球で彼らをバックアップする管制センターのメンツの

頑張りも本作のメインのひとつです。

 順調な宇宙旅行から一変してクルーたちの生存危機に直面した管制センターは、

その事実を目の当たりにして一瞬誰もが口をとざします。

ここがリアルで怖かった、印象深いシーンです。

ショックを表わす時、映画でも演劇でもつい大げさに表現してしまいだちですが、

本当に衝撃を受けると、人間は何もできません。

喋れないし、動けない。

管制センターの面々がモニターを見つめて、それが現実で何を意味するのか

正しく理解したからこそ、誰もが動きを止めたシーンは、リアリティがあります。

 

 映画の見所は、ここからです。

未曾有の大惨事を防ぐべく、クルーの命を救うべく、ジーンが音頭をとって

管制センターのメンツは、それぞれの頭と体と人脈をフル動員して

解決策を探します。

そして宇宙船に残されたクルーたちは、極寒の宇宙空間で恐怖に立ち向かいます。

 「成功した失敗」や「栄光ある失敗」とも称されるアポロ13号。

個人的には、仕事で失敗した一人の夜に、自分を励ます目的で

見直したくなる映画です。

「なんかちょっと失敗しちゃったな」と落ち込みそうなあなたに、どうぞ。

 

【映画のキーワード】

#歴史 #パニック #ドキュメンタリー