映画と本の感想ブログ「映画の本だな」

いつかディズニー映画を英語で観るために頑張るブログ。

映画「ナイル殺人事件」

How many grate stories are tragedies?

映画「ナイル殺人事件

 

”「恋って時には恐ろしいものにもなりますねえ」

「だからこそ、有名な恋物語はほとんど悲劇に終わっているのです」”

書籍「ナイルに死す」

アガサ・クリスティー 著

加島祥造 訳

 

映画"Death on the Nile"

2022

ケネス・ブラナー 監督

 

 待ってました、一年と四ヶ月。

 コロナウイルスの流行により、2020年10月公開予定だったのに、

延期に延期を重ねて、ついに今年! この2022年2月に公開されました!!

映画公開を楽しみにしていたコザクラは、原作も読み終え、

ブログ掲載用のイラストまで描き上げておりましたが、

まさかこんなに待たされるとは、2020年の私には知る由もないことです。

コロナめぇ……コロナめぇ……。

 

 さて、今回の映画の原作は、アガサ・クリスティ

名探偵ポアロシリーズの一つ、「ナイルに死す」です。

コザクラは運悪く、映画化の話が出るまで題名さえ知りませんでした。

 好みの分かれるところだと思いますが、

個人的にはミステリーは読むことが最上級なので、

映像化はオチがわかった後で落ち着いて楽しむのが好きです。

推理しながら鑑賞するには、残念ながら頭の回転が追いつきません。

考えている内に犯人が出てきてしまうので、

長編ミステリー小説を2~3日に分けて読み、

暮らしの隙間で思い返しながら犯人を予想するのが楽しいのです。

 ……というわけで、映画公開前に原作をゆっくり堪能したわけです。

 映画はこれから!という方は、ぜひ先に原作を読むことをおすすめします。

原作は昔読んだことがあるからいいや、と言う方も、

お時間があればぜひ復習がてら読み直してみてほしいです。

 

 というのも、やっぱり小説と映画って別物なんですよ。

映画には映画の楽しみ方や魅せ方があるように、

小説にも、小説でないと味わえない味覚みたいなものがあると思っています。

 今回の映画は、個人的には凄く面白かったし楽しめましたが、

犯人像の掘り下げという点では、やや甘いように感じました。

原作を読んだ人とそうでない人で、犯人と被害者に対するイメージに

かなりの隔たりができそうだな、と思います。

 もちろん、映画版の犯人像だととらえることもできます。

それも一つの解釈です。

 ただその場合、出演者は原作の背景ありきで演じたのかどうか、

という疑問が残ります。

映画館で一回観た程度の感想で申し訳ないのですが、

小説内で説明された犯罪に至るまでの人間関係の変化や複雑さは、

ちょっとよくわかりませんでした。

犯人役の方が、映画版の犯人として演じていたのか、

小説通りの葛藤もある前提で犯人を演じたのか、

そこのところが掴みきれなかったんですよね~。

うーん、もどかしいなァ。

 

 まァ、そこのところの読み解きは、皆さんの映画レビューを待つとして、

それでは映画の楽しみはと言うと、やはり非日常的な空間の再現性でしょう。

縁のない海外の風景や社交界のマナー、時代を彩ったファッションに

寝台列車や巨大な客船など豪華なセッテイング。

視覚の印象は強烈、かつ雄弁です。

 まん延防止等重点措置が実施される最中にあって、

はるか遠いエジプトのナイルの流れを旅する映像を大スクリーンで

眺めていると、なんだか心がふっと緩みます。

現実逃避という言葉はポジティブに使われませんが、

空想旅行と思って、頭の中で遊んでみるのはいかがでしょうか。

 2時間前後の限られた時間の中で、

本筋とヒントとミスリードを絶妙に配置しなければならないので、

上質なミステリー映画は、数多の娯楽の中でもとりわけ素晴らしいものです。

ましてや原作はミステリーの女王:アガサ・クリスティ

2017年公開の映画「オリエント急行殺人事件」と同じケネス・ブラナー

主演・監督を続投しております。

きっと、素敵な体験になると思われます。

Bon voyage!(よい旅を!)

 

【映画のキーワード】
推理小説 #クローズド・サークル #アブ・シンベル神殿