映画「ボーダー 二つの世界」
映画"Gräns"
2018年
アリ・アッバシ 監督
こ…怖い映画だ…。
さすが北欧スリラー、今回も度肝を抜きに来てますね。
家族・友人・恋人とは絶対に観たくない系のファンタジー(?)映画、
それが今回ご紹介する「ボーダー 二つの世界」です。
素晴らしく美しいスウェーデンの森の景色の中、思わず顔を背けたく
なるほど醜悪な容姿の生き物が人間に紛れて暮らしている、というストーリーです。
主役とその同族の見た目が、心臓が落っこちそうに怖かったです。
笑顔が凶悪。
人間にそっくりなのに、異質さははっきりと目の前にあって、彼らが人間ではなく
別の生き物:トロールなんだと思い知らされます。
悪夢に出てきそう。
人間中身が大事って言うけど、そんなの絶対うそやろ、というのを眼前に
突きつけられて笑われている気分になりました。
「っていうかソイツ人間じゃないし。ウチらと違うし」
という意味の「ボーダー:境界線」
題名になっている境界線はこの作品内で他にもはっきりと引かれていて、
それはたとえば主人公:ティーナの職業にも関わる国境であり、
たとえば児童ポルノを巡る犯罪組織と警察の善悪であり、
たとえば単純に男と女の差異であったりします。
誰しもが目に見えない境界線に囲まれて生きています。
この映画は、普段の生活では気にも留めないその奇妙さを描いた作品です。
人間とトロールの境界線に、美しいものと醜いものの境界線が交わって、
自分を人間と思い、生き辛さを感じてきたティーナの心が出生と一族の秘密を
知って揺れ動く様が本当に危うくて、観ていてハラハラします。
そして最後に現れた登場人物は、果たして彼女に境界線を越えさせてしまうのか。
あ。ご鑑賞いただく前にちょっと注意が必要です。
劇場公開時はR指定を避けるために修正が入ったらしいのですが、
レンタルDVDはそのまんまです。
露骨な男女の濡れ場があります。
お気をつけくださいませ。
あと、コオロギせんべいはうまいです。
ほぼえびせんでした。
ほぼ。