映画と本の感想ブログ「映画の本だな」

いつかディズニー映画を英語で観るために頑張るブログ。

映画「ブレードランナー」

Wake up. Time to die.

映画「ブレードランナー

 

”「電気動物にも生命はある。

 たとえ、わずかな生命でも」”

書籍「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

フィリップ・K・ディック 著

浅倉久志 訳

 

映画"Blade Runner"

1982

リドリー・スコット 監督

 

 なんて魅惑的なタイトルなんでしょう!

 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」ですって?

「電気羊」とは?

「アンドロイド」――SF作品らしいな。

しかし、「夢」?

いや、機械は夢を見るまい――

 一体どんな物語なのか、題名を聞いただけで気になります。

 そしてページを開けば、おそらくもう後戻りできないでしょう。

途中で一休みすることはできずに、一気読みしてしまう程に

世界観が作り込まれていて、もうどうしようもなく狂おしいスピードで

結末まで読み切ってしまいます。

そういうパワーのある骨太の作品でした。

 

 これは、人類が地球外惑星へ進出した未来の地球を舞台に、

人間そっくりな機械――アンドロイドと、彼らを支配する人間の関係を描いた、

やや哲学的要素の強いSF作品です。

 世界規模の戦争で地球は生命にとって危険な土地となり、

空を飛ぶ車を個人が所有し、

本物そっくりの機械の動物が高値で取り引きされる世界。

地球環境の急激な変化は昆虫からほ乳類に至るまで、

多種多様な生物を絶滅に追いやり、

まるで人間以外の生物は全て死に絶えたかのような状況です。

 ゴキブリが人間より早く滅ぶなんて、にわかには信じがたいのですがね。

 主人公:デッカードは警察官。

 しかもただの警察官ではありません。

知能の高いアンドロイドは度々脱走を図っており、

地球の治安を守る警察官は、地球へ逃げてきたアンドロイドを始末する、

捕獲者としての一面をもっています。

アンドロイド1体を破壊する毎に、ボーナスがでるという、

固定給を低めに設定して、チップで稼ぎを得るアメリカのチップ文化を

まざまざと体現する報酬制度で、未来の警察官はレーザー銃を所持しています。

 

 ――と、ここまでは原作小説も映画も変わりありません。

しかし映画は原作を下敷きにして、全く別の物語となっています。

ほぼ原案の扱いです。

原作では人間と機械を分け隔てるラインについて語っていますが、

映画では人間に使役されるアンドロイドの悲哀が一つの大きなテーマです。

 原作者のディックは映画完成前に逝去しているため、

彼が映画をどう感じるかはわかりませんが、原作のテーマが消えかかっているので、

あまりいい顔はしなさそうだな、と個人的には思います。

 ただし、原作の哲学的テーマを映画でメインに取り上げられても、

映画としては退屈になってしまったと思います。

一部のSFファンにはうけたたもしれないけど、

コザクラのように「観てすぐわからないと飽きてしまう」輩には

箸にも棒にもかからなかったでしょう。

あくまで原作テーマを下地においた上で、

アンドロイドという、人間に造られた時点で存在を全肯定されない・できない、

しかし意思あるものの運命を叙情的に描いたことで、

この映画は感動的・印象的なのだと思います。

 映画を観ている観客は、逃走してきたアンドロイド:ロイが倒れるシーンでは

もうすでに彼を人間と同じように感じています。

このシーンを観ながら、人間と機械を区別するもの――作中では

「共感性」とされます――については、一切考えないでしょう。

ロイ達の逃走劇を観ながら、彼らが設定された死の期限に恐れを感じ、

そして設計者に希望を見出し、全ての人間を等しく憎んでいることを知ります。

最早、彼らには生命が宿っていると、直感的に悟ります。

 

 小説のラストで、逃亡した全てのアンドロイドを処理したデッカードは、

家で彼の帰宅を待っていた妻に、引用した台詞を伝えます。

機械仕掛けの羊に感じた生命は、彼の妄想でしょうか?

 私達人類が、機械に対しても共感を得るようになった時、

そこに人間とアンドロイドの境界は無くなり、

私達は生命として次の段階へステップアップしていく気がしました。

 眠るのが惜しい夜に、この作品たちを、どうぞ。

 

【映画のキーワード】

#アクション #サスペンス #レプリカント

 

 

 

「ディズニー・コスチューム大全」を手に入れた!

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「ディズニー・コスチューム大全」を手に入れた!

 

 ――がっかりですよ、本当に。 ……ハァ。

翔泳社から2021年に発売された「ディズニー・コスチューム大全」を

入手したんですけど、予想した通り掲載されていませんでした、

衣装を背面から見た画像。

 設定画集もそうなんですけど、コスチュームを知りたい人――特に

ファンアート作成を目論む人からすると、衣装の前面よりも

後面がわかる画像がほしくてしょうがないんですよね。

実際にファンアート作成までいかなくても、「後ろの布どないなってんねん?」と

思った人が手に取る類いの資料だと思うんですよ、この手の本って。

見たいじゃないですか、背中。

知りたいでしょう? どこから生えているのかわからない布の行方。

 理想を言えば、前面・側面・背面・上から見た図の4つの画像が欲しい!!

というか、無いと理解できない! 服の構造が!

3Dで想像するのが苦手なコザクラは、この手の本は歯ぎしりしながら

「カメラさ~ん!もっと後ろ寄ってくれェェ!!」と叫びながら読んでいます。

 出版社の皆様、どうかひとつ、よろしゅうおたのもうします。

 

 さて、ディズニー実写映画の衣装を特集した本著では、

アニメーション時代から現代に至るまでの衣装づくりの歴史について

冒頭で触れられています。

「白雪姫」など初期の作品は実写モデルを参考にして、

アニメーション作品が制作されています。

ということは、モデルさんたちが映画同様の格好をして演技していたわけで、

その当時制作された衣装の画像が掲載されています。

くたびれたピノキオの衣装に、ディズニーアニメーションの歴史が感じられます。

 観たことある実写映画よりも、ない映画の衣装の方が格段に多かったのですが、

そこはディズニー。

衣装ひとつとってもハイセンスで、見飽きることなく一気読みしてしまいました。

 ラストを飾るは、新・旧の「メリー・ポピンズ

同じ人物を時代を経てデザインし直すと、

こんな風に違いがでるのか、と驚きました。

 デイズニー好きと映画・舞台衣装好きの方々に、ぜひどうぞ。

 

 

映画「ナイル殺人事件」

How many grate stories are tragedies?

映画「ナイル殺人事件

 

”「恋って時には恐ろしいものにもなりますねえ」

「だからこそ、有名な恋物語はほとんど悲劇に終わっているのです」”

書籍「ナイルに死す」

アガサ・クリスティー 著

加島祥造 訳

 

映画"Death on the Nile"

2022

ケネス・ブラナー 監督

 

 待ってました、一年と四ヶ月。

 コロナウイルスの流行により、2020年10月公開予定だったのに、

延期に延期を重ねて、ついに今年! この2022年2月に公開されました!!

映画公開を楽しみにしていたコザクラは、原作も読み終え、

ブログ掲載用のイラストまで描き上げておりましたが、

まさかこんなに待たされるとは、2020年の私には知る由もないことです。

コロナめぇ……コロナめぇ……。

 

 さて、今回の映画の原作は、アガサ・クリスティ

名探偵ポアロシリーズの一つ、「ナイルに死す」です。

コザクラは運悪く、映画化の話が出るまで題名さえ知りませんでした。

 好みの分かれるところだと思いますが、

個人的にはミステリーは読むことが最上級なので、

映像化はオチがわかった後で落ち着いて楽しむのが好きです。

推理しながら鑑賞するには、残念ながら頭の回転が追いつきません。

考えている内に犯人が出てきてしまうので、

長編ミステリー小説を2~3日に分けて読み、

暮らしの隙間で思い返しながら犯人を予想するのが楽しいのです。

 ……というわけで、映画公開前に原作をゆっくり堪能したわけです。

 映画はこれから!という方は、ぜひ先に原作を読むことをおすすめします。

原作は昔読んだことがあるからいいや、と言う方も、

お時間があればぜひ復習がてら読み直してみてほしいです。

 

 というのも、やっぱり小説と映画って別物なんですよ。

映画には映画の楽しみ方や魅せ方があるように、

小説にも、小説でないと味わえない味覚みたいなものがあると思っています。

 今回の映画は、個人的には凄く面白かったし楽しめましたが、

犯人像の掘り下げという点では、やや甘いように感じました。

原作を読んだ人とそうでない人で、犯人と被害者に対するイメージに

かなりの隔たりができそうだな、と思います。

 もちろん、映画版の犯人像だととらえることもできます。

それも一つの解釈です。

 ただその場合、出演者は原作の背景ありきで演じたのかどうか、

という疑問が残ります。

映画館で一回観た程度の感想で申し訳ないのですが、

小説内で説明された犯罪に至るまでの人間関係の変化や複雑さは、

ちょっとよくわかりませんでした。

犯人役の方が、映画版の犯人として演じていたのか、

小説通りの葛藤もある前提で犯人を演じたのか、

そこのところが掴みきれなかったんですよね~。

うーん、もどかしいなァ。

 

 まァ、そこのところの読み解きは、皆さんの映画レビューを待つとして、

それでは映画の楽しみはと言うと、やはり非日常的な空間の再現性でしょう。

縁のない海外の風景や社交界のマナー、時代を彩ったファッションに

寝台列車や巨大な客船など豪華なセッテイング。

視覚の印象は強烈、かつ雄弁です。

 まん延防止等重点措置が実施される最中にあって、

はるか遠いエジプトのナイルの流れを旅する映像を大スクリーンで

眺めていると、なんだか心がふっと緩みます。

現実逃避という言葉はポジティブに使われませんが、

空想旅行と思って、頭の中で遊んでみるのはいかがでしょうか。

 2時間前後の限られた時間の中で、

本筋とヒントとミスリードを絶妙に配置しなければならないので、

上質なミステリー映画は、数多の娯楽の中でもとりわけ素晴らしいものです。

ましてや原作はミステリーの女王:アガサ・クリスティ

2017年公開の映画「オリエント急行殺人事件」と同じケネス・ブラナー

主演・監督を続投しております。

きっと、素敵な体験になると思われます。

Bon voyage!(よい旅を!)

 

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推理小説 #クローズド・サークル #アブ・シンベル神殿

 

 

ディズニー・アニメ映画「眠れる森の美女」

Oh, silly fiddle-faddle!

ディズニー・アニメ映画「眠れる森の美女」


”十五歳という年齢は、少女が大人への階段を昇り始める微妙な年齢でもある。

 それを考えれば、父親である王がいかに姫を可愛がり、閉じ込め、

 守ろうとしたとしても、守り通すのは到底無理なことではあったのかもしれない。

書籍「グリム童話のなかのぞっとする話」

金成陽一 著

 

映画"Sleeping Beauty"

1959

クライド・ジェロニミ/ウォルフガング・ライザーマン/

エリック・ラーソン/レス・クラーク 監督

 

 別にグリム童話に限った話じゃないんですけど、

子ども向けとして紹介される童話の中に、時々ハッとするほど

残酷な描写があって心臓がどきどきしてしまいます。

 そして残酷描写においては、頭ひとつ抜きん出ているとされる、グリム童話

グリム兄弟が収集・編纂した、日本でもおなじみの、ドイツの昔話です。

とは言っても実際にはフランスやイタリアから伝わった物語も含まれており、

今回取り上げた映画の元ネタも、元はフランスのペロー童話集からとされています。

 

 グリム童話の残虐性の謎は、好んで話題にされがちです。

本屋でも図書館でも、グリム童話関連の棚だけ

他と比べてその手の考察本が充実しています。

今回引用した本もその中の1冊です。

 あとがきで著者は、自分にとって昔話は現実の話である、としています。

隠喩やヴェールをはがした素のままのお話は、

決して架空の作り話ではなく、人びとの叡智が潜んでいる、と。

 もし「眠れる森の美女」が、かつて生きた誰かの人生から

得られた知恵を元にして創作されたとしたなら、

それは一体どんな人生だったのでしょうか。

 本作の元ネタの考察本などからは、同じ説が複数人から唱えられています。

曰く、姫が眠りに落ちる原因の紡錘(つむ。糸をつむぐ道具)や

それが置かれた小部屋が性器を暗喩しており、

性への目覚めや性体験が姫を眠り――死に近い、覚めることを知らない

永遠の眠りへと誘っている、と。

その説をとると、国中の紡錘を集めて火をつける王様の姿は、

自分の娘をいつまでも「ちいさなかわいいわたしのむすめ」でいさせたいと思い、

躍起になって無意味なことをしている、切ない父親の姿に変わります。

 コザクラの妄想でしかないのですけど、この童話の土台の人生があったなら、

その語り手は父親か母親なのではないかと思います。

「自分にはかわいい子どもがいて、いつまでもかわいい子どもだと思っていたら、

ある日突然、結婚相手を連れてきた。しかも孫までできていた。

いまさら反対なんてできないから結婚を許したが、後悔が残る。

しかし同時に、わたしの両親もこんな気持ちだったのではないか、と

同じ立場になってはじめてわかった気持ちもある。」

 年をとったおじいさんやおばあさんが、

しわだらけの手で孫やひ孫の頭をなでながら、

かつて同じように自分の子どもたちの頭をなでていたことを思い出しながら

「眠れる森の美女」を語って聞かせる姿を思い浮かべました。

 

 映画でも物語のはじまりは、主人公:オーロラ姫の誕生祝いのパーティーからです。

参列した大勢の客人の中には、3人の妖精の姿もあり、

それぞれが姫に贈り物を授けます。

そこへ現れる黒い影――本作の悪役、マレフィセントです。

 2014年に彼女のスピンオフ映画が公開されたのは記憶に新しいですよね。

ぶっちゃけ、主役を食う勢いでキャラがたっております。

 ……というより、主役のオーロラ姫が

あの短時間でよくキャラをたてていると言うべきか。

よく考えてみると、76分(短っ!!)の映画の中で、

皆が思い浮かべる15~16歳のオーロラ姫が動いて喋っているシーンは

かなーり短いんですよね。

城に連れていかれては泣いてばかり。

その後はマレフィセントの魔法に魅了され、すぐ眠りに落ちます。

そしてなんと、その後一言も話さないんですよ!!

今回見返して一番驚いたのがそこなんですけど、

オーロラ姫は目覚めて王子様が目の前にいても微笑むだけ!

王子様と一緒にご両親とはじめて会った時も微笑んでハグするだけ!

全然喋らないんですよ!!

 きっと、オーロラ姫役の声優さんは、

もらった台本の薄さにびっくりしたことでしょう。

「えっ、私こんなんで主役はるの?」と。

 

【映画のキーワード】

#ディズニー #いばら姫 #眠り姫

 

 

 

ディズニープラスの会員です!

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ディズニープラスの会員です!

 

 いや~、入って良かった!

2021年末、Disney+(ディズニープラス)の会員になりました!

コロナ渦でどこにも出かける予定がなく、完全に寝正月になると

予想されたため、映画三昧な年末年始を過ごすために入会しました。 

 ディズニー好きとはいえ、

すでにAmazon Prime Video(アマゾンプライムビデオ)の恩恵を受けていたので、

動画配信サービスの入会には消極的でした。

しかし結果、入って良かった。

なぜなら、コザクラはdocomo(ドコモ)ユーザーだったのです。

 

 2022年2月7日現在、ドコモでは「ディズニープラスおよびセット割」という

キャンペーンが行われており、該当すれば、なんと3ヶ月割引されるのです。

コザクラは料金プランを割引対象のものに変更したばかりだったので、

キャンペーンにエントリーすることができました。

3ヶ月分(税込み2,970円)って大きいですよね……。

 詳しくは、下記URLへどうぞ!

 

 

【公式】Disney+ (ディズニープラス) |ドコモから入会がお得


 

 何が良かったって、観よう観ようと思っていた作品を

まとめて観ることができたことです。

 コロナによる外出制限がかかっていた時期に公開延期……からの中止、

動画配信サービスでの提供に変更されていた映画が、結構溜まっていました。

DVDになったらレンタルしようと思っていたのですが、

それすらも忘れていた!

なんか浦島太郎みたいな気分で色々目移りしちゃったので、

観たいリストを作って、その時の気分で選んで消化している最中です。

 昔懐かしい作品目当ての方も、最近の作品はとんと知らないけど

暇つぶしをしたい方も、キャンペーン対象者はぜひ入会してみてください!

残念ながらキャンペーン対象外の方は、観たい作品リストを作ってから

月初に入会し、その月末までに全て観きってしまい、解約して1ヶ月分だけ

支払う、という「ディズニー月間」を設ける方法が良いかと思われます。

 それでは皆様、楽しい時間をお過ごしくださいませ!!

ディズニー・アニメ映画「アラジン」

Mr. Aladdin, sir, What will your pleasure be?

ディズニー・アニメ映画「アラジン」

 

”「なんなりとご用をおいいつけください。

 あなたのしもべが参上しました。

 わたしはランプをお持ちのかたのしもべです!」

書籍「アラビアン・ナイト アラジンと魔法のランプ」

斉藤洋 著

 

映画"Aladdin"

1992

ジョン・マスカー/ロン・クレメンツ 監督

 

 この間、カラオケに行ったんですよ。

皆さん、1曲目って何を歌います?

私は椎名林檎さんの「丸の内サディスティック」です。

 それで、1曲終わって一息つくじゃないですか。

見ますよね、ランキング。

最近は何が流行っているんだろ~、という気持ちで確認しますよね。

デュエットランキングの上位にいつもいるんですよね、

映画「アラジン」劇中歌の「ホール・ニュー・ワールド」が。

なんでひとりカラオケなのにデュエットランキングまで目を通しているのかは

さておき、やはりディズニーソングの中でもこの曲は鉄板ネタなんだな、

と思った次第であります。

 

 映画「アラジン」を観た後で、元ネタの「アラジンと魔法のランプ」の

音楽劇を小学校の授業でやったことがあります。

その時知ってしまったんですけど、映画と元ネタってだいぶ違います。

子供ごころにも、「改変すげえ」とびっくりしたので

いまだによく覚えているんですが、元ネタだとお母さんがいたり、

魔神がもう一人いたり、お姫様がうっかりしています。

映画のヒロイン:ジャスミンは、気も強けりゃ頭も回る女で、

将来アラジンが尻に敷かれる未来がありありと思い浮かぶ感じの美少女なだけに、

なんか本当におとぎ話のお姫様って感じです。

 しっかし、機転を利かせたとはいえ、

自ら進んで悪役とキスするとは恐れ入ります。

今期アニメのヒロインの話じゃありませんよ?

90年代初頭のディズニーヒロインなんですから、たまげたもんです。

個人的に、あのシーンで一気にジャスミンの株が上がったというか、

率直に言ってファンになりました。

かぁっこいい……。

 

 そうそう、魔神がもう一人いるんですよ!

今回の引用文は、アラビアン・ナイトの全4巻シリーズの中の1冊からです。

改めて読み直したら、やっぱりいました。

その名も指輪の魔神。

ランプを得る冒険に際して、魔法使いがアラジンに渡したことからわかるように、

ランプの魔神よりも格下の魔神として描かれています。

よって、映画では省略されています。

 ただ、今回選んだ本では、指輪の魔神のカラーリングが青黒い肌に銀色の目と

なっており、ランプの魔神は赤黒い肌に金色の目とされています。

原典がどうかはわかりませんが、映画の印象からランプの魔神は

青色のイメージが強いです。

まぁ、そんなこと言ったら、元ネタの魔神は人間を超越した魔物として存在しており、

映画に登場するランプの魔神:ジーニーのように陽気に歌い踊るわけでは

ないのできりがありませんね。

 

 映画ではアラジンが3つ目の願い事に

ジーニーに自由を与えること」を選んだため、

魔法のランプはただのランプに変わります。

アラジンの真心からの行動を見て、王様は法律を変えてでも

アラジンとジャスミンを結婚させることを決めます。

そして自由を得たジーニーはランプに囚われることなく、

自由に大空を飛び立っていきます。

 書籍では物語の途中で先に結婚してしまいます。

結婚してもなお、ランプの魔神の存在が周囲にばれていないために、

さらなるトラブルと冒険に巻き込まれてしまいます。

最終的にはランプも指輪も失わず王位についています。

ところがアラジンは冒険が終わった後、魔神の力を借りることはありませんでした。

 普通、何でもできる魔神がいたら、一生を通じて助けてもらおうと思うものです。

ましてやランプの魔神が叶える願い事は、映画では3つの制限がありましたが、

書籍では制限なしです。

何の対価もなく願いを叶える力を持つ存在を、どうしてアラジンが

必要としなくなったかについては、読者へ問いを投げかけるかたちで

答えをほのめかしています。

それはきっと、アラジンは魔神の力を借りてほしいもの――愛、富、権力――を

すべて手に入れたのでもう必要なくなった、ということでしょう。

 そう考えると、この主人公:アラジンは、

割とどこにでもいそうな、普通の男の子なんですね。

そういう男の子だけが、魔法のランプが隠された地下へ入ることを許された

――なんとも夢のある話ではありませんか?

 

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#ディズニー #千夜一夜 #山寺宏一

 

 

 

映画「イエスマン “YES”は人生のパスワード」

The world is a playground.

映画「イエスマン “YES”は人生のパスワード」

 

”見知らぬ人はさまざまなやり方でオレたちの人生に影響を与え得る

 ――新しい考え方や、アイディア、提案などを通じて。

書籍「イエスマン  “YES”は人生のパスワード」

ダニー・ウォレス 著

寺西のぶ子 訳

 

映画"Yes Man"

2008

ペイトン・リード 監督

 

 映画を観て、人生が変わったらいいのにな~、と思います。

本を読む時もそうです。

新しい場所へ出向く時も同じ。

 新しい出会いで、自分の人生がくるっと変わったらいいのに。

もちろん、良い方向へ。

 

 「人生 変える 映画」で検索したら、でてきたのがこの映画「イエスマン

同名の原作本は、著者の実体験の基づいてつづられたそうです。

映画と原作本では主人公の名前から何まで異なりますが、

大筋のところは変わりません。

「人生を変えたいなら、まずは出会うもの・ひと・すべてに否定的な

その態度を悔い改めよ」ってなところです。

 斜に構えた態度で人生をなめきった若人には、正直、耳に痛いお言葉。

 主人公:カールは仕事でもプライベートでもぱっとしない毎日を過ごし、

様々な誘いに間髪入れずに「ノー」と拒否し続けていました。

そんな彼は友人に連れられ参加した自己啓発セミナーで、

「今後、決断時には『イエス』と肯定すること」を宣言させられ、

半信半疑ながらも実践していくことになります。

 ホームレスに乞われるままに、車で送ってやり、

ケータイを貸してやり、持っていた札束を全て渡してやります。

自分でも心と頭が矛盾した行動をしていることがわかっているため、

笑顔がひきつっています。

それでも彼は宣言通り、他人からの問いかけに「イエス」で応え続けます。

そして気付けば夜更けの公園で車はガス欠……。

イライラしながらタンクを片手にえっちらおっちら歩いて、

ガソリンスタンドへ向かいます。

 ところがその先で、全く予想していなかった幸運がカールを待っていました。

彼の人生を良いものにするであろう出会い――

彼の運命の相手:アリソンと出会うことになります。

 

 彼女は、ヒロインとして、ちょっと珍しいタイプだと思います。

 ロックというかパンクというか、枠や型にはめられないタイプ。

芸術肌の自由人。

野性的な勘が鋭いと思われます。

そうじゃなきゃ、初対面の男とキスなんかできませんよ、普通。

 そしてかわいい。

こんなかわいい子が夜更けに現れるなら、ガソリンスタンドで待つわ、私。

大学生でも通りそうな、学生の空気が残った感じの若い女性なんです。

だけど中身はしっかり大人として自立していて、そのギャップにやられました。

 決まり切ったルーティーンを嫌う彼女の自由気ままな生き方は、

観ていると「こうは生きられない」と思う反面、

もの凄く羨ましく感じられます。

趣味にしろ仕事にしろ、彼女は自分の「好き」をよくわかっている気がします。

どのシーンをとっても彼女がチャーミングなのは、

自分の直感と感情に素直に生きている人間特有のストレスフリーな雰囲気が、

単調な毎日を繰り返す生活に飽き飽きした観客に魅力的だからでしょう。

 そんな彼女といい感じになったカールは、

しかし「人生を変えた魔法の言葉:イエス」のせいで

アリソンとの関係を壊してしまいます。

果たして「イエスマン」は、

本当に人生を良い方向に変えることができるのか……?

 

 ところで、映画で友人のブライダルシャワーを頼まれるシーンがあります。

ここ、わからなかったので見終わった後で調べたんですが、

ブライダルシャワーとは結婚式の数週間前に、

新婦の友人を集めて行うパーティーのことだそうです。

カールの友人:ピーターの婚約者:ルーシーの友人(それも女性)が

主催するつもりでしたが、人選で難航したためピーターがカールに依頼します。

 結婚式でどうせ友だち呼ぶのになんでパーティーするんだろう、

と疑問だったんですが、結婚の一連の流れの中で、

「前祝いパーティー」として欧米では一般的なようです。

前夜祭みたいなもの? 結納とか?

 こういう風習について学べるから、

映画はやっぱりコザクラの人生を変えていると思います。

ほんのちょびーっとですけど。

悪くない変化です。

 

【映画のキーワード】
#コメディ #恋愛 #フェラチオ